「恋するピアニスト フジコ・ヘミング」
恋するピアニスト フジコ・ヘミング@吉祥寺アップリンクです。
映画は、ほとんど観ることがありません。
なぜなら、とても怖がりで、観られる映画が限られていること、
映画自体がOKでも、映画の前のCMが大抵恐ろしすぎること。
私が映画館に行くには、ほとんどの人には想像もできないくらいの、とてつもない勇気を振り絞る必要があります。
勇気を振り絞るほどの価値があると思える、とても厳選された映画のみ、本当に時々観にいくのです。
つまり、それくらい、観たい映画だったのですが、同じくらい、吉祥寺アップリンクという映画館に興味がありました。
行ってみたい、やってみたい、興味がある、という自分の声には、誠実に対応した方が良いですね。
映画鑑賞に不慣れゆえ、事前予約せずに思いつきで出掛けて一番前の座席しか空いていなかったり、券売機の前でしばし立ち尽くしたりはご愛嬌。
映画館はとても気に入ってしまって、会員になればいつでも1,100円で映画を観られて、ビールも飲めるわけで、
緊張しながら一人でお酒を飲める場所を探すくらいなら、チャージだと思えば、なんて素晴らしい!
冒頭から涙が溢れていました・・・
そして、フジコ・ヘミングさんの演奏からスタートする映画の方は、演奏が、私にフィットしたのか、冒頭1分で涙が溢れていました。
師匠から「君はロマンチックに弾くね、そういうの今は流行らないよ?」と言われたという演奏。
「うるせーこのやろー」と思ったという気持ちの良さ。
猫や犬たち、好きな思い出の品々に囲まれた、
窓から道ゆく人々を眺められて、一人ひとりに幸せであってと願いを送れる部屋。
死の直前まで、生業を続けること。
着物を自由に着崩して着こなされているのも、私がやってみたいと思っているおしゃれの一つで、
すべてが、私が理想としている生き方のように思えました。
「私が恋ばっかりしているから」と。
でも「私に完全に合うやつなんかいないってわかってるんだけどね」という言葉が、じんわり沁みた立冬の日でした。